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世界的数学者の岡潔さん。

誰も解析できなかった「多変数複素関数論」をたった一人で解いた。
私にはさっぱりわからない。
10編の随筆集がある、これなら少しはわかるし納得する。

  • 岡さんは人間の情緒を非常に大切なものとする。健全なる情緒を育てるためには教育、特に義務教育の大切さを力説している。岡さんが目指す教育とは、ある意味において、軍国主義教育を取り除いた戦前の教育であった。岡は、小学校・中学校・高等学校時代のことを思い出して非常に懐かしんでいる。
    現代にいる我々はもうそろそろ本気になって、明治・大正の教育を見直すべきではないのか。軍国主義を否定することに躍起になって、戦前の制度・教育などほとんどすべてのことを悪と見る考え方・見方に終止符を打たなければならない時期にきている。
  • 人の心のかなしみがわかる青年がどれだけあるだろうか。人の心を知らなければ、物事をやる場合、緻密さがなく粗雑になる。
    粗雑というのは対象をちっとも見ないで観念的にものをいっているだけということ。
  • 人の中心は「情」であって、情の根底は「人の心の悲しみを自分のからだの痛みのごとく感じる心」すなわち観音大悲の心である。
  • 人は動物だが、単なる動物ではなく、渋柿の台木に甘柿の芽をついだようなもの、つまり動物性の台木に人間性の芽をつぎ木したものといえる。それを、芽なら何でもよい、早く育ちさえすればよいと思って育てているのがいまの教育ではあるまいか。
    ただ育てるだけなら渋柿の芽になってしまって甘柿の芽の発育はおさえられてしまう。
    渋柿の芽は甘柿の芽よりずっと早く成長するから、成熟が早くなるということに対してもっと警戒せねばいけない。すべて成熟は早すぎるよりも遅すぎる方がよい。
    これが教育というものの根本原則だと思う。