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「天雷无妄」

四書五経の五経のひとつ易経に出てくる卦かである。

无とは、古字であり無である。

自然体に生きることは、楽のようで極めて難しい。自然は変化がある。春夏秋冬、山あり谷あり、寒暖等々。変化をそのまま受け容れる、つまり変化に順うことだが、これが実に難しい。

奇跡のリンゴ、無農薬無化学肥料でリンゴを実のらせた木村秋則さん。

十年間無収入。夜のバイトで生活費のたしにする。志を貫き通した木村さん。

無妄でいることは、むずかしい。

人間は、命の誕生すら今、作為が入る。

私たちの都合のいいように、手を加える。

植物の種は、食材の香り味がしない。聞く所によると、全国どこでも同じ味の料理が作れるようにするためとか。

子育ても、親は親たるを学ばないで、親の思うように育てようとする。いわゆる過干渉である。

いたるところで作為がおこなわれている。化学、サイエンスの力に頼ることも大事だ。

化学科学を否定することはできないが、自然の一員である私たちの本来の生き方に少し戻ることが必要ではなかろうか。

限りなく自然体に生きてゆきたい。不自由するだろうが、不自由の中に幸せの光が宿っていると思う。