理事長あいさつ

理事長・院長挨拶

「慢性期病院の定義とは」
 地域医療構想と新型コロナウィルスパンデミックにより急性期病院の整備が進みつつあります。つまり役割が明確になってきました。その一方で全国の慢性期病院は今後の方向性に揺れているように思います。医療療養、介護療養が主体であった病院に入院していた患者さんは徐々に介護施設に移っています。介護施設にご挨拶に伺うと、入居者さんの急な容体悪化時に気軽に診てほしい、困ったときの相談に乗って欲しい、往診をして欲しいという要望をどこに行っても耳にします。患者さんやご家族からも長く入院させてほしいというご要望はあまり聞かなくなりました。
 回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟は増加し、リハビリの質を問い地域のニーズに応えるというよりは、診療報酬制度に追従している、あるいはそうせざるを得ない単純ではない現実があります。慢性期病院というものは、今後も医療を担うのであれば地域のニーズにお応えするのが使命ではないかと感じていますが、現実にそのニーズにお応えすることは容易なことではありません。過去に急性期病院が味わってきたのと同じかあるいは異なる痛みを伴うからでしょう。慢性期病院の定義が変わってきたとも言えます。もし地域のニーズにお応えしなければ、現実には医療から徐々に手を引いて介護の競争、競合の世界に移るしかありません。私たちはあくまで医療を目指すのか、介護に業態を変えるのか、あるいはニーズに沿ったハイブリッドを目指すのか、どれが私たちに与えられた道なのか、毎日私は心に問いかけています。
 道を開く上で大事なことは、最後は善意に基づいた目的とそれを達成しようとする職員一人々々の意志にかかっているのではないかと感じています。小さな部分では意見が異なっても、大きな部分では意見を一つにする、その時大事なことは助け合いの精神と感謝の心だと思います。小さなことへのこだわりを捨て助け合いと感謝の心で来年を迎えます。