理事長あいさつ

理事長・院長挨拶

 8月12日に新型コロナウィルスのクラスターが発生しました。感染された皆様には心よりお見舞い申し上げます。全職員の献身的な努力により、幸い当該病棟以外への感染拡大はなく8月25日にクラスター終息宣言を出すことができました。今後は環境感染対策を厳しく見直し、安心して入院していただけるよう改善策を実施していまいります。
 それにしても改めて感じることは、われわれ人間というものはもともと細菌やウィルスと共存した世界に住んでいるのだなあということです。そしてそれら微生物は腸内細菌やウィルスによる遺伝子の進化など人間にも役に立っているのです。ですからそれらの細菌やウィルスを環境から完全排除することは不可能だしかえって不利益です。また多くの細菌やウィルスどうしは互いを排除せずうまく共存しています。であれば人間は新しい感染症の微生物とどうやってうまく共存していくかを考えなければなりません。そうでなければ社会活動は沈滞し、生きる意欲も損なわれていくのではないでしょうか。
 人間どうしも同じです。私たちの周りにはいろいろな顔かたち、いろいろな肌の色、いろいろな性格、いろいろな考え方の人たちがいます。排除の論理の究極の形が戦争ではないでしょうか。自分と異なる外観や性格、考え方があっても、それを自分流に解釈せずいろいろな角度から多様にそして正しく理解し、いかに相手の長所を見出して、いかに高めあい、いかに自分の肥やしにし、いかに共存するのか考えていきたいものです。今回のクラスターで得た教訓の一つです。