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『自立を奪う』
ジーランドに野生のカモがいた。
湖に羽を休めているカモがいた。
人のいい老人が、カモにエサをやり続けた。
カモは渡り鳥である。
カモは考えた。
ここに居れば、この老人からエサをもらえ
る。飛び立つことでもない。
ここで一生暮らせるのだ。
ところが、ある日、雪崩がおきた。
野生のカモは、飛び立つことができず、み
んな死んだ。
自らの力で生きてゆける、やせいのカモで
あり続けることだ。
エサをやり続ける老人は、私かも知れない。
私がいなくとも、仕事のできる人であるため
に、ジーランドの老人にならないことだ。